物流2025.03.21

物流におけるバーコード活用の重要性と導入のポイント


Ξ目次
01. バーコードの基礎知識
 1-1. バーコードとは?
 1-2. バーコードが物流業務にもたらすメリット
02. バーコード管理がうまくいかない理由と解決策
 2-1. 「バーコードがついていない商品がある」問題

 2-2. 「バーコード管理がうまくいかない」問題
03. バーコードを活用した効率的な物流業務
 3-1. 入出荷の管理をスムーズに
 3-2. 在庫管理の正確性を向上
 3-3. 検品作業を効率化

04. 導入事例:フェアトレード商社A社様の成功事例
05. まとめ:バーコード導入で物流業務をスマートに


物流業務では、入出荷ミス、在庫数のズレ、検品の手間など、多くの課題が発生します。
特に中小企業やEC運営企業では、手作業に頼ることで作業効率が悪化し、コストが増加するケースが少なくありません。こうした課題の解決策の一つが「バーコード管理」です。バーコードを活用することで、作業のスピードアップや誤配送の防止、在庫の正確な把握が可能になります。しかし、実際には「バーコードがない商品がある」「管理がうまくできない」といった悩みを抱える企業も多いのが現状です。本記事では、バーコードの基本から物流業務での活用方法、導入事例までを詳しく解説します。バーコードを正しく活用し、物流の効率化とコスト削減を実現しましょう。

01. バーコードの基礎知識

1-1. バーコードとは?

バーコードとは、商品や荷物を識別するためのコードで、黒と白の縞模様(バー)と数字(コード)で構成されています。
スキャナーを使って読み取ることで、データを瞬時に認識・管理できる仕組みです。バーコードは一般的に**一次元バーコード(線状のもの)と二次元バーコード(QRコードなど)**に分類されます。一次元バーコードの代表的なものには、**JANコード(13桁または8桁)やITFコード(14桁)**などがあり、主に商品管理や物流に利用されます。もともと、スーパーマーケットのレジ処理を効率化する目的で開発されましたが、現在では物流・在庫管理・製造業・医療など、幅広い分野で活用されています。
手入力よりもスピーディーかつ正確であるため、物流業務の効率化には欠かせないツールです。

1-2. バーコードが物流業務にもたらすメリット

物流業務では、入出荷・在庫管理・検品といった作業の正確性とスピードが求められます。しかし、手入力や目視による管理では、作業ミスや時間のロスが発生しやすいのが現状です。ここで重要になるのが、バーコードを活用した効率的な管理です。

① 作業スピードの向上
バーコードスキャナーを使用すれば、一瞬でデータを読み取り可能。手入力のように品番や数量を打ち込む必要がなく、作業時間を大幅に短縮できます。

② ヒューマンエラーの削減
目視での品番確認や手書きによる記録は、入力ミスや見間違いが発生しやすいですが、バーコードならスキャンするだけで正確に識別できます。

③ 在庫管理の正確性向上
商品にバーコードを付与することで、リアルタイムで在庫状況を把握可能。過剰在庫や欠品を防ぎ、適切な発注管理ができます。

④ コスト削減
作業時間の短縮とミスの削減により、人件費や誤配送のコストを削減できます。特に、返品・再配送のコストを抑えることで、物流全体の効率が向上します。

このように、バーコードを活用することで、物流業務の精度とスピードを向上させ、コスト削減にもつながるのです。次の章では、バーコードを活用する際に直面しやすい課題と、その解決策を詳しく解説します。

02. バーコード管理がうまくいかない理由と解決策

2-1. 「バーコードがついていない商品がある」問題

① ハンドメイド商品や一点物のケース

【問題点】
ハンドメイド商品やオーダーメイド品など、大量生産されない商品には、あらかじめバーコードが付いていないことが多い。
【解決策】
・自社でバーコードを発行し、ラベルを貼付:小型のラベルプリンターを使用し、オリジナルのバーコードを発行・貼付することで、管理の統一が可能。
・QRコードを活用し、商品情報をデータ化:QRコードを商品ごとに発行し、商品詳細ページや在庫システムと紐づけることで、スムーズな管理を実現。

② 海外からの輸入品のケース

【問題点】
一部の輸入品は国際規格のバーコードがない、または国内流通と異なるコードが使われている。バーコードのフォーマットが異なるため、既存のシステムで読み取れないことがある。
【解決策】
・国内規格(JANコードやGTIN)に準拠したバーコードを発行:物流センターや倉庫で、国内流通用のバーコードを新たに付与し、統一する。
・WMS(倉庫管理システム)と連携し、手動登録 → バーコード管理へ移行:一度手動で商品情報を登録し、以降はバーコードスキャンで管理することで、作業の効率化が可能。

③ 小規模メーカー・工場直送商品のケース

【問題点】
メーカーや工場によっては、バーコードを印刷・貼付する工程を省いていることがある。小ロット生産の商品では、バーコード管理の仕組み自体が導入されていないケースもある。
【解決策】
・メーカーと協議し、バーコード貼付を依頼:可能であれば、仕入れ段階でバーコードを付与してもらうよう調整。
・社内でバーコードラベルを作成し、システム登録:自社でバーコードを発行・管理することで、スムーズな在庫・出荷管理を実現。

「バーコードがついていない商品がある」という問題は、物流現場で頻繁に発生します。しかし、自社でバーコードを発行・管理する仕組みを整えれば、スムーズな物流業務が可能になります。次の章では、「バーコードはあるが、管理がうまくできない」という問題について解説します。

2-2. 「バーコード管理がうまくいかない」問題

バーコードが付与されている商品であっても、バーコード管理がうまくいかないという問題は多くの企業で見られます。この問題が発生すると、物流業務の効率化が進まないばかりか、誤配送や在庫誤差が生じ、企業の信頼性にも影響を及ぼします。以下のような原因と解決策が考えられます。

① スキャナーやシステムの不具合

【問題点】
古いスキャナーや読み取り精度の低い機器を使用している場合、バーコードが正確に読み取れず、誤認識や読み取りミスが発生することがあります。システムの連携不良により、バーコードスキャン後のデータが正しく反映されないこともあります。
【解決策】
・最新のバーコードスキャナーを導入:読み取り精度の高い最新機器を導入し、バーコードの読み取りミスを減らす。特に、2Dバーコード(QRコード)対応のスキャナーを使用することで、複雑なデザインや印刷の問題も解決できます。
・システムのアップデートと統合:在庫管理システム(WMS)やERPシステムとバーコード管理システムを統合し、データの正確な流れを確保。リアルタイムで在庫情報が反映されるようにする。

② バーコードの貼り付け位置やサイズの問題

【問題点】
バーコードが不適切な位置やサイズで貼られていると、スキャンできない場合や誤認識されることがあります。特に、製造段階での貼付ミスが原因となります。バーコードが損傷している場合も、スキャナーで読み取れないことがあります。
【解決策】
・バーコードの貼付位置とサイズを統一:すべての商品において、バーコードの貼付位置やサイズを規定し、全ての部門で統一します。特に商品の表面にしっかり貼ることが重要です。
・バーコードの品質チェックを実施:出荷前にバーコードが損傷していないか確認し、問題があれば再印刷を行うようにします。バーコードラベルの耐久性を考慮し、長期間の保管でも問題が起きにくい素材を選びます。

③ スタッフのバーコード操作ミス

【問題点】
スタッフがバーコードの使い方に不慣れな場合、読み取り時に誤ったバーコードをスキャンしたり、誤った手順で操作してしまうことがあります。バーコードスキャンのタイミングや読み取る順番を間違えると、在庫データに不整合が生じることがあります。
【解決策】
・スタッフ教育とマニュアル整備:スキャナーの使い方やバーコード管理の基本を定期的にスタッフに教育し、業務マニュアルを整備して一貫した運用ができるようにします。
・チェック体制の強化:出荷時や在庫確認時に、二重チェックやダブルスキャンを導入し、間違いを防止します。特に在庫管理の精度を向上させるために、定期的に棚卸し作業を実施することも有効です。

④ 在庫管理システムの不適切な運用

【問題点】
バーコードを使った管理が正しく行われていても、在庫管理システム(WMS)の運用方法が適切でない場合、情報が正しく反映されません。システムが古くて新しいバーコードフォーマットに対応していないこともあります。
【解決策】
・在庫管理システムの見直しと改善:WMS(Warehouse Management System)やERP(Enterprise Resource Planning)システムを見直し、バーコードの導入に対応したシステムへのアップデートや移行を行います。
・システム連携を強化:他のシステム(受注システム、配送管理システムなど)との連携を強化し、データの一貫性を保つことが重要です。

「バーコード管理がうまくいかない」問題は、機器の不具合、貼り付け位置やサイズの問題、スタッフのミスなど、さまざまな要因が絡み合っています。しかし、適切な機器の導入やスタッフ教育、システムの改善を行うことで、問題を解決し、物流業務を効率化できます。次の章では、これらの問題を解決した実際の導入事例を紹介します。

03. バーコードを活用した効率的な物流業務

3-1. 入出荷の管理をスムーズに

バーコードを活用することで、入出荷業務の効率化が大幅に進みます。従来、手作業で行っていた商品確認や在庫登録のプロセスが、バーコードのスキャンによって瞬時に行えるようになります。これにより、処理時間の短縮や誤出荷の防止が実現できます。

① 入荷時の効率化
入荷された商品に貼られたバーコードをスキャンするだけで、受け入れ作業が完了。商品が正確に入荷したかどうかを迅速に確認でき、在庫管理システムに自動反映されます。これにより、手作業での確認作業が不要になり、ミスを減らし、作業時間を短縮できます。

② 出荷時の効率化
出荷前に、商品のバーコードをスキャンしてピッキングリストを照合します。これにより、出荷ミスや誤配送を未然に防ぐことができます。また、バーコードスキャン後、出荷データがリアルタイムで更新されるため、注文管理や配送管理がスムーズに進行します。

③ リアルタイムでの在庫更新
商品が入荷または出荷されるたびに、バーコードをスキャンすることで、在庫数が即座に更新され、リアルタイムで在庫状況を把握できます。これにより、在庫の過不足を防ぎ、迅速な発注や再入荷が可能となります。

バーコードを活用した入出荷の管理は、作業の効率化だけでなく、精度向上にもつながり、企業の物流業務全体を支える重要な要素となります。

3-2. 在庫管理の正確性を向上

バーコードを活用することで、在庫管理の正確性が大幅に向上します。手作業での管理では、在庫の誤差や欠品、過剰在庫が発生しやすいですが、バーコードによる管理でこれらのリスクを最小限に抑えることが可能です。

① リアルタイムでの在庫更新
商品の入荷、出荷、移動などが行われるたびに、バーコードスキャンによって即座に在庫データが更新されます。これにより、在庫の状態を常にリアルタイムで把握でき、在庫誤差の発生を防止できます。

② 棚卸し作業の効率化
棚卸し作業では、手作業での在庫数のカウントや記録が煩雑ですが、バーコードを使ってスキャンすることで、短時間で正確な棚卸しが可能になります。誤カウントや記録ミスが減少し、棚卸しの精度が格段に向上します。

③ 在庫の可視化
バーコード管理システムを活用すると、在庫がどの倉庫や棚にあるかが明確に表示されます。これにより、必要な商品を迅速に取り出すことができ、無駄な在庫移動や探し作業を減らすことができます。

④ 適切な発注タイミング
リアルタイムで正確な在庫状況を把握できるため、在庫が不足する前に適切なタイミングで発注することができます。これにより、欠品のリスクを低減し、スムーズな流通が実現します。

バーコードを活用することで、在庫管理の精度と効率が飛躍的に向上し、コスト削減や業務のスムーズ化が実現します。

3-3. 検品作業の効率化

バーコードを活用することで、検品作業の効率化が大幅に進みます。商品のバーコードをスキャンするだけで、システムが自動的に商品情報を確認し、手動での照合作業を省略できます。これにより、検品時間が短縮され、誤検品のリスクが減少します。また、入荷時や出荷時にバーコードスキャンを活用することで、注文や出荷リストとの一致を瞬時に確認でき、誤出荷を防止できます。さらに、バーコードスキャン時に検品データが自動的に記録され、後のトラブルシューティングや改善にも役立ちます。

04. 導入事例:フェアトレード商社A社様の成功事例

A社様は、アナログ管理の別倉庫で物流をアウトソーシングしていました。
FAXでの出荷依頼、商品名のみの指示、目視ピッキング、エクセル在庫管理により、誤出荷や在庫差異が頻発していました。
ミカロジに移行後、1SKUごとにバーコードを発行・貼付し、ロットや賞味期限ごとの識別を可能に。さらにWMS(倉庫管理システム)を導入し、バーコード管理による在庫・出荷精度を向上させました。その結果、誤出荷は大幅に減少し、在庫差異もほぼゼロになりました。業務効率が向上し、物流コストの削減にも成功しました。正確かつ効率的な物流体制の確立により、A社様は顧客満足度を高め、物流を事業成長の支援要素へと進化させました。

05. まとめ:バーコード導入で物流業務をスマートに

バーコードシステムの導入は、物流業務の効率化を実現する強力な手段です。バーコードを活用することで、在庫管理や入出荷作業、検品が自動化され、誤配送や在庫誤差の削減が可能になります。これにより作業時間の短縮、コスト削減、顧客満足度の向上が期待できます。アパレル、文具、医療機器、家具など、さまざまな業界で成功事例が増えており、バーコード導入が業務改善に効果的であることが証明されています。物流業務をスマート化し、競争力を高めるために、バーコードシステムの導入は今後さらに重要となるでしょう。

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