入荷と入庫の違いとは?実例でわかる正しい基礎知識
Ξ目次
01. 「入荷」と「入庫」の定義と違い
1-1. 「入荷」とは?
1-2. 「入庫」とは?
02. 「入荷」と「入庫」を区別しないと起こるトラブル(実例付き)
2-1. ケース1:入荷と入庫を同時に処理して数量ズレが発生
2-2. ケース2:入庫処理を忘れて在庫が見つからない
03. 「入荷」と「入庫」の作業をスムーズにするためのポイント
3-1. 入荷時の注意点(受け取り時のチェック)
3-2. 入庫時の注意点(正確な在庫管理のために)
04. まとめ:「入荷」と「入庫」を正しく区別して業務の精度を上げよう!
物流や倉庫業務では「入荷」と「入庫」という言葉が使われますが、この違いを正しく理解していないと在庫ズレや出荷ミスの原因になります。
例えば、入荷と入庫を同じ作業だと思い検品を怠ると、数量不足に気づかず出荷時にトラブルが発生することも。逆に入庫処理を忘れると、システム上の在庫と実際の在庫が合わない事態を招きます。本記事では、入荷と入庫の違いを解説し、具体的な事例とともに業務をスムーズにするポイントを紹介します。
01.「入荷」と「入庫」の定義と違い
1-1. 「入荷」とは?
「入荷」とは、仕入れ先やメーカーから商品が届き、受け取ることを指します。物流の流れでいうと、商品が倉庫や店舗に到着するタイミングのことであり、この時点ではまだ在庫として正式に登録されていません。
■入荷のポイント
・仕入れ元から届く商品を受け取る作業
・発注内容と納品書を照合し、数量や品目を確認する
・破損や不良品がないかチェックする(検品)
入荷作業は、発注内容と納品物のズレを防ぐ重要なプロセスです。ここで正確なチェックを行わないと、後の入庫や出荷に影響を及ぼします。
1-2. 「入庫」とは?
「入庫」とは、入荷した商品を倉庫内の適切な保管場所に収納し、システム上の在庫として正式に登録することを指します。入庫が完了することで、初めて商品が出荷可能な状態となります。
■入庫のポイント
・入荷した商品の数量・品質を確認し、問題がなければ倉庫内の指定場所に収納する
・システムに登録し、在庫データを更新する
・ピッキングしやすいように整理整頓し、管理しやすくする
入庫作業が適切に行われないと、在庫ズレや出荷ミスにつながるため、正確な処理が求められます。
02.「入荷」と「入庫」を区別しないと起こるトラブル(実例付き)
2-1. ケース1:入荷と入庫を同時に処理して数量ズレが発生
実際にあったトラブル事例:アパレル倉庫でのミス
あるアパレル倉庫では、入荷と入庫の作業を一括で処理していました。入荷したTシャツ100枚を、検品を省略してそのまま入庫処理し、システムに「100枚」と登録。しかし、後日出荷しようとした際、実際の在庫は「95枚」しかなく、5枚不足していることが判明しました。
■なぜこのトラブルが起こったのか?
・入荷時に納品数の確認をせず、そのままシステム登録してしまった
・検品作業を行わなかったため、納品ミスや破損に気づけなかった
・入庫時には「100枚ある前提」で作業したため、本来不足していた5枚がカウントミスのまま在庫登録された
■こうしたミスを防ぐためには?
・入荷時に納品書と現物をしっかり照合し、数量チェックを徹底する
・検品作業を行い、不良品や不足がないかを確認する
・入庫作業は「実際に収納した数」で登録し、入荷数量とは別に管理する
入荷と入庫を混同すると、数量ズレが発生し、後の出荷業務に支障が出る可能性があります。必ず別のプロセスとして管理することが重要です。
2-2. ケース2:入庫処理を忘れて在庫が見つからない
実際にあったトラブル事例:通販倉庫でのミス
あるEC通販会社の倉庫では、入荷した商品を入庫処理せずにそのまま棚に置いてしまうというミスが発生しました。高級化粧品100個が納品されたものの、担当者が忙しく、入庫処理を後回しにしてしまった結果、在庫システムには反映されていませんでした。
■その後どうなったか?
・数日後、出荷準備が整った際、在庫システム上では商品がないと表示され、注文が入ったことに気づかず、急遽商品の所在を調べることになりました
・実際には、商品は倉庫内にしっかりあったものの、入庫処理がされていなかったため、システム上は在庫ゼロと認識されていた
・この遅れによって、出荷予定が遅れ、顧客に納期変更を知らせる事態に
■こうしたミスを防ぐためには?
・入庫処理をすぐに行い、システムに反映させる
・商品を棚に置く前に、入庫処理が完了しているか確認する
・定期的に在庫の実物確認を行い、システムと実際の在庫を突き合わせる
入庫処理を忘れると、在庫が見つからない、システムに反映されないといったトラブルが発生し、出荷業務に大きな影響を与えることがあります。
03.「入荷」と「入庫」の作業をスムーズにするためのポイント
3-1. 入荷時の注意点(受け取り時のチェック)
入荷時にしっかりとした確認作業を行うことで、後の入庫処理や出荷作業のスムーズさを確保し、トラブルを未然に防ぐことができます。ここでは、受け取り時のチェックポイントについて詳しく見ていきましょう。
■受け取り時のチェックリスト
①納品書と商品を照合する
・商品の品目、数量、発注内容が納品書と一致しているかを確認します。
・発注数と実際に届いた数に差異がないかを即座にチェックし、不足や過剰があれば担当者に報告します。
②破損や不良品の有無を確認する
・商品に傷や破損がないか、箱が潰れていないかをチェックします。
・特に高価な商品や温度管理が必要な商品については、細かい確認が求められます。
③商品の状態を確認(温度や湿度の管理)
・温度管理が必要な商品(冷蔵・冷凍品など)は、適切な温度で到着しているかを確認します。
・湿気や直射日光を避けるために、適切な配送方法が取られているかをチェックします。
④受け取り日時と納品内容を記録する
・入荷日、受け取った商品の詳細を記録として残しておきます。
・この情報は、後でトラブルが発生した場合に確認するための重要な証拠となります。
■注意すべきポイント
①リアルタイムで記録すること
・商品が届いたその場で、受け取り内容を確認し、記録を残します。これにより、後で「忘れた」「記録がない」というミスを防ぎます。
②チェックリストを使って作業を標準化する
・毎回同じ手順で確認作業を行うことで、チェック漏れやミスを減らし、効率的に作業が進みます。
受け取り時のチェックは、後の入庫や出荷業務に大きな影響を与えるため、慎重に行うことが重要です。
3-2. 入庫時の注意点(正確な在庫管理のために)
入庫作業は、商品の受け取り後に倉庫内に正確に保管し、在庫システムに反映させる重要なプロセスです。この段階でのミスが、その後の在庫管理や出荷作業に大きな影響を与えるため、正確な作業が求められます。以下のポイントを押さえて、入庫時の注意点を実践しましょう
■入庫時のチェックリスト
①入荷した商品を確認し、数量を再チェックする
・入荷時に確認した数量と、入庫時に再度数量を確認してダブルチェックを行います。
・納品書と商品の一致確認はもちろん、破損や異常がないかも再度点検します。
②商品を適切な場所に保管する
・商品を適切な保管場所に整理整頓します。特に、温度や湿度に敏感な商品は、専用の保管スペースに収納することが大切です。
・商品の種類や用途に応じて、ピッキングのしやすさも考慮した配置をします。
③バーコードやQRコードのスキャン
・バーコードやQRコードを読み取って、システムに反映させます。これにより、在庫数が正確に更新され、管理が容易になります。
・特に、大量の商品を扱う場合には、手動入力によるミスを防ぐためにバーコードスキャンを徹底します。
④在庫システムへの即時登録
・入庫作業が完了したら、すぐに在庫管理システムに反映させ、在庫数を最新の状態に保ちます。
・入庫処理の遅れがないよう、作業後すぐにシステム更新を行い、実在庫とシステム在庫のズレを防ぎます。
⑤定期的な在庫の棚卸し
・定期的に在庫棚卸しを行い、システムと実際の在庫が一致しているかを確認します。これにより、入庫処理の漏れやミスを早期に発見できます。
■注意すべきポイント
①作業を標準化し、作業者に教育を徹底する
・入庫作業を効率よく進めるために、標準作業手順(SOP)を作成し、作業者に徹底的に教育します。これにより、どの作業者が担当してもミスを防げるようにします。
②在庫データの確認と一致を常に意識する
・入庫時にシステム更新を行う際、在庫数の正確性に常に意識を向けることが重要です。特に、忙しい時や急な納品があった場合に、データ入力ミスが起きやすいため注意が必要です
入庫作業を正確に行うことで、在庫管理の精度が高まり、後の出荷ミスや在庫不足のトラブルを防ぐことができます。
04.まとめ:「入荷」と「入庫」を正しく区別して業務の精度を上げよう!
「入荷」と「入庫」の違いを理解し、各作業を正確に行うことは物流業務の効率化に欠かせません。
入荷は商品を受け取る作業、入庫はその商品を倉庫に適切に保管し、在庫システムに反映させる作業です。これらを区別せずに行うと、数量ズレや在庫管理ミスが発生し、業務が滞る原因となります。正確な処理を行うことで、在庫管理の精度が向上し、出荷ミスを防げます。業務の精度を上げるために、入荷と入庫を適切に区別し、作業を徹底しましょう。